意地になっているのはわかるが、あんたが１人で子供と家と団地のこと、全部できませんよね。男は基本同時に別のことをこなせない生き物だものね。
子供はとうあと少しで巣立ちを迎えるけど、そしたら実質あんたはこの広い家で男の独り暮らしか、子供が残れば家事全般はあんたがしなければならないんだよ。弁当も子供のぶんも作らなきゃならないよ。日々の食事も栄養考えて作らなきゃならないし、私が居たからこの家は正直まわっていたのだよ。
近所付き合いも私がうまくやってるからあんたの評判も決して悪くないんだよ。
だけどね、私がここから居なくなって、あんたがこの家に住むようになると、たちどころにあんたは悪者になるだろうね。
残念ながらね。
あんたは実感はないかもしれないけど、私がうまくあんたを立てて来てたんだよ。
とはいえまあ、この家には父親が二人居たようなものだったけど、でも、あんたが頼りないから私がそうならなきゃならんかったのわからないの？見た目だけははたからみたら威圧感を放ってるけど、あんた鬱病患う程の弱っちい男だもんね。
なるべくして、私は母親を超えた母親をやってきたの。あんたはそれにに気がついてないけどね。そこを取り違えて嫌な部分として、私を突っぱね切り捨てたいようだけどね。
将来を思い描いてごらんよ。
きっと、子供らが頼りにしてくるのは母親であるこの私だよ。
よくよく考えてごらんなさいな。
男が年取っての独り暮らしほど世間から哀れまれるものはないぞ。
女性のそれは男性ほどではないのだよ。だって家事全般当たり前に女性はやってきてるからね。
今私を切って楽になっても絶対後から後悔する日が来るからね。
今はわからないだろうけどね。
あんたの「わかった」の一言さえあれば、私は今までのことを水に流してやるのに。
自問自答してよくよく考えなさいな。今なら「帰ってこい！」そう言ってやるのに。