壁を一度殴り、苛立ちを隠さないまま1人だけまた寝てしまった

「うるさい！」

隣の部屋から怒号がした。

我娘が泣いてる。
寝返りをした時、壁に頭を打ち
起きてしまったみたい。

私は娘を抱き上げ背中を叩き落ち着かせた。

それでも泣き止まない。
少し体調が悪く鼻詰まりを起こしてるせいだろう。

泣き声は大きくなるばかり。
２回目の「うるさいねん」が聞こえた。

我慢ならなくて私は扉を開けて言ってやった。

「禁煙してて、イライラしてるならタバコ吸ってこいよ」

何か言い返された気がしたけど、娘の泣き声でかき消されて聞こえなかった。

「家の中でイライラされるの嫌やからタバコ吸ってき」

そもそも禁煙してなんて私は1ミリも頼んでない。

自分から進んでやってるくせに
そのイラつきをぶつけられたらたまったもんじゃないわ。

それでも泣き続ける娘に声もかけず
壁を一度殴り、苛立ちを隠さないまま1人だけまた寝てしまった。
泣き声が聞こえないように布団にうずくまる姿がなんとも滑稽だった。

前にも同じようなことがあり
話し合いをして育児の事を努力して
いくと言っていたばかり。

そうだ。
人はそう簡単には変わらない。
期待はしていなかった。
だってこんな事一度や二度じゃない。

話し合いの最後「期待はしてない」と言った私は正しかったんだ。

ああ、早く2人でゆっくり過ごしたい。